言わせてもらえば
個人ページは、安直にバナーに身を売るな。

最近、個人ページにバナーが掲載されているケースが多い。

「ふじうら.こむ」のようなサイトでも、ひとつ運営していると「バナーを掲載しないか」とメールを貰うことがある。クリック一回につきいくばくかの収入があり、一定のコマンドを書いておけばバナーの内容は広告ホストから送ってくるという。多くは「いちばん目立つ位置に」という条件がついているので、表紙の上半分などに大きなバナーが掲示されることになる。

しかし、言っちゃなんだがデザインが非道いバナーが多い。色使いも派手だし、だいいちサイズが大きすぎる。広告主としても、女性週刊誌でいえば後ろのほうに入っているようなところが多い。そのバナーを入れたためにページの印象がガタガタになっているところも少なくない。

ページ運営は大変だし、バナーを置いておくだけで小遣いが稼げるような気になって飛びつくのもわかる。また個人ページはその人のもので、どうしようと他から口を出す筋合いのものではない。それはわかっているつもりだが、それでも「個人ページは目先の欲で身を売るべきではない」と言わずにおれない。

「利益を得るのがいけない」と言っているのではない。「安売りするのは損だよ」と言っているのだ。売ってもいいところを高く売ればいいのであって、大事なところを安く売るものではない。個人が企業に対して互角あるいは優位に交渉できる可能性のある場で、安易に流れるのは大きな喪失だ。

少なくとも「何と何の取引きをしているのか」は契約時にきちんと把握しよう。個人ページのトップページは個人のアイデンティティだろう。そんなに安く自分のアイデンティティを売っていいのか。もっともっと慎重になっていいはずの契約だと思う。

自分にとって納得できるところ、本文のレイアウトを壊さないところ、作者がコントロールできるところ、そういうところに掲載するのならわかる。内容をチェックしないで契約にサインしてそれに随うのではせっかくの個人ページが他人の言いなりになってしまうではないか。

商業的にいっても「内容チェックできない原稿を勝手に送り込んでくる」バナー会社と契約するのは自分のページの格を下げる行為だ。ちゃんとした媒体は自分にふさわしい広告を選別するものである。

付記:その後いくつかの会社から勧誘を受けふじうら.こむもバナーを掲示することにした。条件として◆トップページに置かないなど掲示位置について自分の意志が反映できる◆運営会社及び広告主が優良◆広告掲載の是非を媒体側が指定できる、という点がすべて満たされたため、サイトの主体性を失わずに掲示できると判断したためである。




(2000年02月15日)





c 1999 Keiichiro Fujiura

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