とは何だ   <発端>





有給放浪で一緒に旅をしたヲサム君も、当時は学生だったがいつしかサラリーマンになっていた。
フジウラはそんなヲサム君と酒を飲みながら先輩風を吹かせるのであった。

フジウラ: ヲサム君、サラリーマン生活はどう?
ヲサム: いや、なかなか大変ッスよー

ヲサム君は生物学部の大学院まで行ったのに研究職を嫌って誰でも知っている有名食品メーカーに入社、スーパー回りの営業をやっているのである。

フジウラ: カ○ビーでどんな仕事やってるの?エビの遺伝子調べるとか?
ヲサム: いやいや、スーパー回ってですねー
フジウラ: うん
ヲサム: 店頭に立ってうちの新商品売ったり
フジウラ: へえ そんなことしてるの
ヲサム: 下町のおばちゃんはおもしろいですよ。あ、ところでこれ うちの新製品です

と、ヲサム君は袋入りのスナック菓子を出すのであった。

フジウラ: あ、ありがとう(ポリポリ)。なかなかいけるねこれ
ヲサム: うまいでしょう(ポリポリ)
フジウラ: しかしヲサム君もすっかりサラリーマンになったねー
ヲサム: そうッスねー
フジウラ: インドネシアの頃はまだ学生だったんだよな(ポリポリ)
ヲサム: そうですねー(ポリポリ) またどっか旅行したいですね
フジウラ: どっか一緒に行こうか
ヲサム: でもあんまり長くは休めないですよ

(ポリポリ)というのはスナック菓子を噛む音である。
ヲサム君はまだ「若手」なのでわがままは言えないのだ。

フジウラ: ほんじゃあさー 今度はああいう大掛かりな旅行じゃなくて、
ヲサム: じゃなくて
フジウラ: サラリーマンなら誰でもできる旅の企画はどう?
ヲサム: いいッスねー

というわけで、新旧ふたりのサラリーマンでふたたび旅をすることになったのである。





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