ButterWorth
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ひとつのプラットフォームにふたつの列車。
自分の乗る車輌はどこだ?

スイスインのベッドで6時に目が覚めた。モーニングコールを頼んでおいたのだがやはり忘れられている。そういう予感がしていたので、自分で目が覚めたのだろう。このホテルはどうも減点となるような応対が多い。

昨夜チャイナタウンの夜店で買った中華パンとミネラルウォーターを下げてタクシーに乗る。

ここの夜店はなかなか壮観だった。道路全体が、細い通路を残して仮設店舗になる。主流は服や時計の偽ブランドだが、中華菓子、果実屋、焼豚屋など中華街らしい店も出て楽しい。


この矢印はどういう意味だ? 駅の売店でさらにミルクを買い足して改札口を入る。

すでに電車は来ていたが、それはシンガポール行きだ。たしかにこのプラットフォームのはずなのに、なぜ反対方向の電車が停まっているのだ。バターワース行きの電車はどこにあるのだ。

案内標識には「←シンガポール バターワース→」と表示してある。この矢印の意味はなんだろう。「シンガポールは、この方向」というだけにしては重要そうに見える。なんだか変だ。


At first I could not find my train to Butterworth.
'Cause I did not imagine there was two train for opposite direction on the same platform.
バターワース行きの電車が見つからなくて、いったん階段を降りたり、また登ったりして汗をかく。しばらくしてようやく「同じプラットフォームに2つの車輌が停まっている」ことがわかった。

ひとつのプラットフォームにふたつの列車 「シンガポール行きは南へ」「バターワース行きは北へ」行くのだから同じプラットフォームを使える、ということなのだろう。合理的なようだが、なにかの勘違いで大事故になりそうな気もする。

シンガポールのように土地が足りなくて困っているわけでもなさそうなのに、妙なところでスペースを倹約している。


ようやくバターワース行きの車輌が見つかった。席はいちばん先頭の、さらにいちばん前の座席だ。つまり、シンガポール行きの車輌の前に立っている私にとっていちばん遠い席である。

マレー鉄道はORIENTAL EXPRESSなのである 座席は三列で、進行方向に向かって左がA。これは一列しかない。通路をはさんで右側がBとC。私の席は「1C」右の窓際である。

A列は一人掛けだからいいようだが、1Aの前にはゴミ箱があった。私の目の前にはテレビがある。ゴミ箱よりはテレビのほうがまだましだ。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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