Chiang Mai
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再度バンコックを通過する。
カオサンの街角にも正月が近付く気配が濃い。

インドシナ半島を旅する者にとってバンコクは不可避の通過点である。

バンコクからチェンマイへ マレー半 島から中国へ向かう南北の動線とベトナムカンボジアからインドへ向かう東西の動 線がこの町で交差する。これこそをHUB(要の地)というのだろう。とくに行きたい わけではないのだが、乗り換えの都合で立ち寄らざるを得ないのだ。


次の目的地は北部タイなので、ミャンマーに発つ前にカオサンのチケット屋で「ヤンゴン発チェンマイ行」といったチケットはないものかと探してみた。しかし安いチケット屋のせいかめぼしい航空券は見つからず、ヤンゴンへはバンコク往復を買うことになったのである。


そういうわけで「とりあえず」バンコクに帰ってきた。とくになにかこの街でしたいことがあるわけではない。

バンコク空港について入国管理の列に並んでいると、不思議な大荷物を抱えた日本人女性二人と一 緒になった。アジアのあちこちのお土産のようだが、かなりの量だ。

聞くともう3ヵ月旅をしているという。「インドネシアの海に突き出した町『パダ ンガラン』がよかった」などという話をする。二人とも大学三年というが旅に関し てはよほどすれっからしらしく、ずいぶん珍しいところを訪れた様子である。 なりゆきでカオサンまで一緒のタクシーをシェアしたが、むこうのほうがよほど旅 慣れていた。


タクシー代は空港から225B(675円/空港代50B含む)。ホテルは前回と同じサイアム オリエンタルで、同じ値段の部屋だが今回は505号室。違いはというと、掲示条 件どおり「シャワーは水しか出ない」。前回はなにかの間違いか。それとも安い部屋が満室で、ひ とつ上のクラスを使わせてくれたのだろうか。

ミャンマーの「竪琴」や未現像フィルムなどを街角の店から送る。このあたりカオ サンはすこぶる便利である。国際便の発送もできるし、そのための箱や荷造りテー プなども簡単に手に入る。

カオサンのタイ式マッサージに行く。1時間200B(600円)、パッポンあたりよりずいぶん安 い。チップも要求されない(どうせ誰も払わない)が、その分手抜きもされる。


「故郷とバンコクとどちらがいい?」
「どちらもよくないわ、金だけよ」

マッサージ嬢たちが手を動かしながら話している会話のはしばしに「ソンクラーン 」という単語が聞こえる。タイ正月を前にして彼女たちもホームシックになってい るのか。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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