Chiang Rai
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二日酔いの頭でまた水掛けをする。
最初の日ほど面白くもない感じだ。

翌朝。メコンウィスキーの飲み過ぎで頭が重い。しかし水掛けが始まる前にと思って近くのLOBO2 に遅い朝飯を食べに行く。サンドイッチをビールで流し込んでいると、近くの店の前で女の子たちがトラックの荷台に乗り込みはじめた。

その店はLOBO1 と同じような風俗店である。店で働く女の子たちが昼間集まって水掛けに繰り出すところらしい。薄着の娘たちがチームを作って張り切っている。面白そうな光景ではあるが、近付くと攻撃を受けるに決まっているので遠くから見るだけにした。

午後になって水掛けが始まってからは、それをよけながら動くしかない。孤軍で戦うのは不利なので昨日と同じくHippie Barへ行く。一応水掛けはしているが、昨日ほどの熱意はない。半分ほどが店先で戦い、残りは店内でうだうだして、ときおり表に出て戦闘に加わる。

水掛けの合間に、シンハを二杯とミックスサラダで135B(405円)。150出したら入墨のマスターに「釣りはないよ!」と怒鳴られた。なんでだかよくわからない。彼の機嫌が不安定なのはクスリをやっているのか。

酒が入って暖かくなってきたので道路に出て水掛けに加わる。通りかかった日本人の女の子が、誘われてこわごわメンバーに加わってきた。

「この店にはよく見えるんですか」
「うん」
「気にはなっていたんですが、怖くて入れなかったんです」

そんなに恐い店でもないよ、と答えておく。


ひとしきり水掛けをしてホテルに帰り、熱いシャワーを浴びる。身体はかなり冷えている。テレビを見ると、ドラえもん、幽遊白書、スラムダンク、セーラームーン。バンダイの力は強い。もちろんドラゴンボールも。

タイのCFのレベルは高いし、わかりやすい。例えば「男の歯が白くて、女の子の目が眩んでモノにぶつかる」とか「クルマの中でやってる、コンドームのCF」とか。

このホテルでは入らないけれども、バーではMTVではなく「Vチャンネル」を流している。The Best Music Channel in Asiaというのが謳い文句だ。

夜、少し歩いてナイトバザールに行く。民族縫製の袋を十個00B(1500円)で買う。高いのか安いのか。売るほうも悩んでいたが、単に計算ができないだけかもしれないので、そのあたりの事情はわからない。Tシャツは一枚65B(195円)だったが、ちょっと素材があやしげ。屋根のあるちゃんとした店では100B(300円)とか150B(450円)である。

夜市のバーではクラプトンの「ワンダフルトゥナイト」が流れていた。思えばこの曲は旅の途中よく聞こえてきた。ソロのカラオケで、ホテルのチープな演奏で、Vチャンネルで、Teepee Barで。もっともTeepee Bar(ヒッピーバー)にはドアーズのほうがよく似合った。

ヒッピーバーのおかげでチェンライの水掛けも堪能できた。明日はチェンマイに戻ることにしよう、と思う。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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