Singapore
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入国審査が厳しいシンガポールなのに
私の姿は怪しい不良外人。

ジャカルタを発つ日が来た。

午後の便なので、それまでにひとつ用事を済ませることにした。撮影済みのフィルムを日本に送るのである。空港のX線を少しでも浴びないほうがいいだろうし、荷物は少ないにこしたことはない。


昨日のカメラ屋通りにもう一度行って、フィルムの空き箱をもらった。それを持って郵便局へ行く。ホテルで梱包しても、中身を確認するためにもう一度郵便局で開封しないといけないので、その場で荷造りするつもりである。

空き箱を持ってうろうろしていたら、テープや紐を持った男が近づいてきた。その男に手伝ってもらい、チップを1000rp(14円)渡す。ハサミなど必要なものはみんな持っているし、手続きも代行してくれる。すこぶる便利である。郵便局の職員の対応も迅速で、ソロとは大違いだ。EMS(国際エクスプレスメール)で、250,000rp(3550円)払う。


Jakarta ところでインドネシアとシンガポール、それに赤道の位置関係がイメージできますか?私はこの時まで、まったく知りませんでした。左の図を見てください(クリックすると拡大されます)。

赤道はシンガポールのすぐ南を通っていて、これまで旅してきたジャワ島は南半球。ジャカルタからシンガポールへは、南から北へ赤道を超える旅ということになります。


帰り道に薬局があったので、薬と包帯を買う。赤いベタベタした薬が脚に捲いた包帯に滲み、外から見るとなにやら大怪我しているように見える。

ちなみに私の格好は短パンにTシャツ。荷物は汚れた小さなデイパックだけ。相当に日焼けしているから顔面は不良中年ヒッピーの様相である。
そこへ持ってきて脚に怪しげな包帯を捲いて赤い血(に見える)がにじんでいる。足元の皮のサンダルは黄色い土にまみれ、ところどころ糸がほつれていて、いかにも貧乏そうだ。どう見てもまともな風体ではない。

今回訪れる国のうち、いちばん入国審査が厳しいのはシンガポールという話だった。周囲の国と比べて飛びぬけて豊かなので、不法労働者の入国は多いし麻薬についても非常にシビアである。この不良外人姿では入国に手間取るかもしれない。入国の条件とされる「出国用チケット」の提示を要求されるかもしれない。

用意してきた「見せ切符」をいよいよ使うことになるのか、と私は少々身構える気持ちになった。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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