Yangon
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ヤンゴンを経つ時がやってきた。
最後まで、この国の両替システムの謎がつきまとう。

乗合バスの光景
ホテルに戻ったが、やることがない。町に行くほどの時間はないし、部屋はもう開 けなくてはならない。しかたがないのでホテルの床屋で髪を切ることにした。

髪はまだいいのだが、鬚剃りが良くない。泡もアフターシェーブローションもないのであ る。ただの水みたいな液を塗って剃り始めるのだが、鬚は硬いままだし爽快感はまるで ない。3ドル払ってひどいめに会った。

そのうえ最後に残ったホテルでの会計で、意外なことを言われた。

こちらの思いと してはまだ旅は続くしできるだけクレジットカードで払いたい。手持ちのFECは 300ドルまでは米ドルに再両替できるのだしそんなには残っていないから問題ないだ ろう。というわけでこのホテルの支払いはクレジットカードでしようと考えたので ある。

ということをフロントのチーフの女性に言ったら「とんでもない」という顔をして 、すごい剣幕で説明しだしたのである。

彼女の説によると「空港で300ドルなんて両替 してくれない。もし強硬に主張してもすごく時間がかかるからこのホテルの代金を 残りのFECで払ったほうがいい」というのだ。

彼女の指摘が正しいかどうか私にはわからない。それにしてもずいぶん大胆な発言だ。 この軍事国家で、国のやりかたを信じていないと外国人に公言していることになる。 他人事ながら「大丈夫かね?」とその剣幕を見た。

彼女の表情から見てどうも信じていいような気がしたので、手持ちのFECでここの支払いをすませることにする。 残ったのは16ドル、10FEC、200K。それに日本円が8万円ほどである。

日本の文字ならなんでもいいのか その半端な200Kを使って空港へ行く。

3ドルだというタクシーの運転手に「2FECと200K(80円)でいいか」 と聞いたらそれでOKという。こういう、外国人には複雑に思える払いかたは珍しくもない らしい。残った8ドル分のFECは空港で使ってしまった。

これでミャンマーともお別れである。旅に疲れていた気分を復活させてくれたこと に感謝する。そしてなによりも、黄金の岩のパゴダに触れられたことに。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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