Texas Flood

Texas Flood
テキサス　フラッド

(Davis/Scott)

1983年のアルバム「Texas Flood」でスティービーレイボーンはブルース界の新星となりました。それまでにデビッドボウイの間奏などで、ふだんはポップスなど聞かないブルースファンにも「おっ」と言わせていたのですが、このアルバム一枚で「テキサスギターの新スター」は、あっというまに世界にその王座を示しました。

しかしわずか7年後に、彼は飛行機事故でこの世を去ることになりました。短い活躍の間もドラッグに苦しみ、そして立ち直り、強い輝きをファンの目に焼き付けています。

Texas Floodは彼のオリジナルでなく、Larry Davisのカバーです。聞き比べてみるとイントロからピアノのバッキングまで非常に似ていて、カバーというよりコピーと言ってもいいくらいです。Steevieはこういう音楽を聴いて育ってきたのでしょう。

Larry Davisは多才な人で、エンジニア、プロデューサ、作曲、アレンジメントを基本に、ベース、ギター、ドラム、パーカッション、ティンパニ、キーボード、ボーカル、それにトランペットでスタッフクレジットに名前を残しています。小さなレコード会社だったのでしょうが、それにしても器用な人です。

Texas Floodは58年に自分のデビューシングルとして発表したものです。レーベルはDuke。このレーベルを所有していたのはDon Robey。そう、Farther on up the Roadの作者です。「ロビーの見ている前でディビスは実力が出せなかった。それ以来レコーディングのチャンスはあまり与えられなかった。」という記事があります(All Music Guide)。ラリーデイビスはセントルイスに住んでいて、アルバートキングのバンドでベースを弾いていたそうです。

※　これは関連した修正なのですが、SKUNK Cさんからいただいたメールによりますと「Don Robeyはクレジットに名前を連ねているだけで本当に作ったわけではない」そうです。詳しくはFarther on up the Roadの解説を読んでみてください。Texas Flood についてもFenton Robinsonの録音では作者クレジットが「Robey/Davis/Scott」となっており、Don Robeyの支配力が感じられます。

歌詞はこれもたわいないものですが、テキサスで実際にあった洪水を題材にしているそうです。一種の「News Blues」です。次のチャンスが与えられなかったということは、あまりヒットもしなかったのでしょう。Steevie Ray Vaughhanがこの曲をブルースのスタンダードにした、と言っていいと思います。

Texas Flood	テキサスの洪水
Well it's floodin' down in Texas All of the telephone lines are down Well it's floodin' down in Texas All of the telephone lines are down You know I've been tryin' to call my baby Lord and I can't get a single sound	テキサスに洪水が起こって電話線はみんな落ちてしまったテキサスに洪水が起こって電話線はみんな切れてしまったあの娘に電話をかけようとしても音ひとつ聞こえやしない
Dark clouds are rollin' Man and I'm standin' out in the rain Dark clouds are rollin' Man and I'm standin' out in the rain Flood water keeps ro-o-o-lin' Man and it's about to drive pour me insane	黒い雲はうねり俺は雨の中に立ち尽くす黒い雲はうねって俺は雨の中に立ち尽くすあふれる水は暴れまわり俺はいまにも気が狂いそうだ
Well I'm leavin' you baby Lord and I'm goin' back home to stay Well I'm leavin' you baby Lord and I'm goin' back home to stay Well back home there's no floods or tornados Baby and the sun shines every day	ここを立ち去るよ　ベイビーここを離れて家に帰ろうここを立ち去ろう　ベイビーここを離れて家に帰ろう家に帰れば洪水も竜巻もない毎日がベイビーとお日様だ