言わせてもらえば
騙される愉しみ。(続き)

東京ディズニーシーが盛況だ。

聞くところによると当初この施設はユニバーサルスタジオのような「映画のメイキングオブ アミューズメントパーク」にする予定だったらしい。それをオリエンタルランドの社長が「日本人は映画の裏側にそれほど興味がない」と主張して現在の構想に変更したという。

結果からいえばその判断は正しかったということになる。

「騙される」ということにも国民性があるようで、アメリカ人のほうが騙されることに寛容なようだ。「うまく騙しやがったなァ」と笑えるセンスは、これは民族性によるものなのだろうか。

例えば手品に対しても、アメリカ人のほうが素直に「騙されて喜んでいる」ように見える。日本人はどうも「タネはどうなっているんだ」と目をとんがらかせていて、素直に騙されて笑うということが苦手なように思う。単純なタネに騙されたことを知ると「馬鹿にされた」気がする人が多いんじゃないだろうか。

DVDの中には多く「メイキングオブ」が収録されている。とくにILMという、スピルバーグもよく使っている特撮専門社が関わったものには、特撮の技術を誇るタネ明し映像がたくさん含まれている。

レンタルDVDの場合とくに「返すまでに全部見てしまわないと勿体ない」気がしてつい目にしてしまうのだが、やはり見てしまうと単純に騙されるというわけにはいかなくなる。完成の映像を見てもその「作る過程」をちらちらと思い浮かべてしまうのだ。

「騙される歓び」のためには、しばらく何も考えずに騙されるよう努めなければならない。

知ってしまうということは、ここでも不幸なことである。





(2001年10月05日)





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黄年の主張
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