ふじうら旅日記

3日目 その3






AMTRAKでシカゴからメンフィスへ。
ブルースのリズムは夜汽車によく似合う。

メンフィス行きのアムトラックは、ユニオン駅8時発だ。

インターネット予約なので機械発券にするつもりだったのだけど、出発直前にクレジットカードを洗濯してしまってカード番号が変ったので、念のためにカウンターに行く。売り場の女に「パスポートを出せ」とかえらく横柄な対応をされる。

一人で買いに行ったら「3人分見せろ」とか言うので「いまここにいない」と言い返すとチケットに「乗車時に要パスポート確認」というスタンプを押してよこした。

このカウンターの女がそんなスタンプを押したところで、客室係員はチケットさえあればそれでよく、余計な手間などかけないのであった。まったく妙な権威主義だ。インターネット予約は機械で発券できるんだからパスポート確認なんかもともと要らないんじゃないのか。

AMTRAKの駅
夜汽車の発つプラットフォームは暗い。

係員に「SLEEPERの2階に行け」と言われてその席を探す。少し迷ったがようやく落ち着いた。コンパートメント、しかも二部屋続きで使うのでなかなか広い。
ベッドを作ったりしていると、客室乗務員が顔を見せに来た。篤実そうな顔をした、なかなかいい男だ。
ベッドを作る
あっけないほど静かに、列車は走り出す。都市部では警笛も鳴らさない。8時なのでまだ街に人通りがある宵闇のシカゴを列車は離れていった。

ヲサム君はよく眠る
しばらく発つとヲサム君は寝てしまった。

そこへ客室乗務員がディナーがあると言ってきたが、断わる。そういえば食事付きなのだった。
ベッドは二段ベッドで、下のほうが楽そうだ。ダイスケ君も寝たので、ひとり酒を飲む。シカゴで買ったブルースのCDをヘッドフォンで聞く。おお、これは良い。コンピュレーションにエルモアジェームズのダストマイブルームが入っていたのだが、あの3連フレーズが列車のリズムにぴったり合う。

ブルースが耳の中で響いているだけで、目の前の光景の意味がまったく変る。夜汽車にブルースはよく似合うのであった。



夜がだんだん更けていく。
窓から月と火星がくっきりと見えた。そのふたつだけが動かず、他の景色はどんどん背後に飛んでいく。

真夜中に駅に停まる。鞄を持った人々が黙々と降車して、暗い駐車場の車に乗り込んでいく。パトカーが巡回している。

一日一便の列車が深夜の駅に来る町。映画「夜の大捜査線」を思い出した。
深夜の夜汽車室内




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