エマダツィ

ブータンから持ちかえった唐辛子で、料理を作ることにした。家人は辛いものが大好きなのにブータンへ行けなかったので、せめてもの土産だ。

とりあえず作るのは、エマダツィ(Ema Datshi)。英語の解説では「Chili 'n' Cheese」と書いてあって、この文字だけを見るとなんだかホットドッグの中身みたいだ。

エマは唐辛子でダツィはチーズ。ジャガイモが入っているのがケワ・ダツィ、キノコを入れるとシャモ・ダツィと記されている解説も多いが、私はこれは「味噌汁みたいなもの」なんだろうと思っている。

というのは、ブータンにいる間中毎日このケワダツィが出たが、それぞれ少しづつ具と味が違った。唐辛子を入れてチーズを入れてそのあたりにある野菜を入れて煮込めばできあがり、というなんでもありの日常食だと思う。

唐辛子とチーズの煮込みというと、薬味ばかりで具がないように聞こえるが、ブータンでは唐辛子は薬味ではなくて野菜である。けっこう大ぶりで長さは12センチほど。形はピーマンの細長いものくらい。辛さは、なかなかに辛い。

ブータンは鶏肉を食べないので、唐辛子と野菜を水で煮始めるらしいが、日本ではコクが足りない気がするのでアレンジして鶏を加えてみた。以下は私の適当レシピ(いいかげん かつ まったく正統的でない)である。ブータン唐辛子の代りにパプリカあるいはシシトウと干唐辛子で十分作れると思う。


<白エマダツィ(鶏肉入りケワダツィ)>

唐辛子の種を抜き四つ割りほどにする(新しくて柔らかい唐辛子なら二つ割りでも良い)。ジャガイモ、鶏腿肉を一口大に切る。量は唐辛子八本/中ジャガイモニ個/鶏腿肉50グラムとした。小鍋サイズだ。

水から煮立て、沸騰したらスープストックを加える。ブータンでは出汁を取らないのでアク抜きはないだろうが、この時点で鶏から出るアクを多少取る。取りすぎると唐辛子の香りもなくなるのでほどほどに。

バター/塩/山椒で味を整え、カッテージチーズを加える。ジャガイモが煮崩れてチーズに混じり、白いとろっとした感じになったらできあがり。(したがってジャガイモは面取りをする必要はない)。

<赤エマダツィ(トマト入りシャモダツィ)>

白エマダツィがこってりした感じなので、こちらはすこしさっぱりスパイシーにする。白同様の唐辛子に、こちらはトマト1個をサイコロに切ったものと、キノコを「両手で持てるくらい」入れる。

同様に煮たててチキンスープの素を加え、バター/塩/山椒で味を整える。チーズの量を少なめにするとバターの油がスープの表面に流れ、トマトの赤と加わって辛そうな表情になる。


付け合せに「イヅィ」を作った。イヅィは「漬物」「和(あ)え物」にあたるものである。唐辛子、タマネギ、トマトなどをみじん切りにして塩とチーズを加えて混ぜ合わせる。これも場所によって微妙に味が違うがドチュ峠(ラ)のレストハウスで出されたイヅィはパクチーなども入ってとても美味いものだった。その気分を出すために、ミョウガを加える。今日はなかったがたぶんエシャレットはよく合うだろう。

たくさん作りすぎたので、がぶがぶ食べるために少し辛さを押さえることにした。チーズを加えた後、ヨーグルトを足して辛さを中和し、さらにバジルを加えてサラダ仕立てにした。

それでも、辛いもの好きな家人が「これは辛い」というほどだった。ブータンの外国人向け料理では切った唐辛子を水に晒すかして辛さを弱めているのだろう。

大量の唐辛子を食べると胸がすっとする。アジアの飯は身体に合っているようだ。




(2001年10月9日)




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エマ・ダツィの作り方を紹介しているページはたくさんあります。 どれも「激辛」と書いてありますが、私はそれほどでもないと思いました。 タイ料理のほうがブータン料理よりも辛いでしょう。
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