Bangkok
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なんとなく気力も体力も落ちている。
ともあれ、ミャンマーへ行こう。

朝起きたら体力が落ちていた。ベッドの真上にある扇風機の風が強く、付けると寒く止めると暑い。一晩中付けたり消したりしてうとうとしていた。おまけに頭のすぐそばが薄いドアで廊下を歩く人の声が聞こえる。夜中に頭のそばで鍵をがちゃがちゃやられると気になって起きてしまうのである。

窓は小さく、開けるとクルマの排気を含んだ熱気と道路の騒音が流れ込んでくる。

午前八時頃にもう暑くて眠れなくなったので、着替えて朝食を食べに行く。着ている服は汗だくなのでシャワーを浴びる。いちおうお湯が出るところが救いだ。

左脚が軽く膿んでいる。ごく軽い傷なのだがそれでも気分はよくない。身体に剥き出しの部分がある感じで、ちょっとした泥水も気になる。股が擦れて痛い。パンツを洗えないことが多いので下着に菌がいるのかもしれない。干したくらいでは死なない。下着を総取っ替えしたほうがよいかもしれない。


暁の寺は修復中
持ち金が10万を切った。

街の両替に行ってVISAでキャッシングしようとしたらパスポートを見せろという。 パスポートはゲストハウスのフロントに預けているので(預けることを要求された)キャッシングできず無駄足になってしまった。


朝食はアイスコーヒーとチーズバーガーにする。まだ昨日のオイスターサラダのダメージが残っている感じ。いろんな小さな不満が浮かび上がってくるのは体力が落ちているということだろう。このBurry's Barはなんだか落ち着けるというか、だらだらできる場所だ。呼び込みの少女は本日も「Smile of the City」である。

昨日ミャンマーのビザを取るために手持ちの写真を使ってしまったので、近くの写真屋で追加の証明写真を撮っておく。このあたり、カオサンは便利な街である。その写真を見たら日に焼けてゲリラの手下のような顔をしていた。

チケットとビザは今夕受け取ることができるという。それまではすることもない。体調はあまりよくないのだが、部屋にいても快適ではないので街へ出かける。

テーマは「バンコクのバス経路」である。これはなかなか難しい。本屋に行って「バス経路マップ」を買い、バス停の表示と見比べる。バス経路は数字で表示されている。いくつか乗り継いでみればたぶんわかるだろう。バスは鉄道と違って路線が目に見えないので外国人には把握しにくい。

とりあえず目印になりやすい観光地、ワット・ポーへ行く。近くまでは行けるのだが入口ジャストには着けず寺の周りをぐるぐる回って入る。 このあたりの仏教のパゴダはヒンドゥのパゴダによく似ている。

ワット・ポーの寝仏 バスでは乗り合わせた親切なおばちゃんが世話をやいてくれた。バス代は5B(15円)。暁の寺までの渡船代は片道1B(3円)。

ワット・ポーの裏口に出たら屋台で串に刺した焼肉を売っていた。豚肉らしい。買って食べてみると案外美味い。これも5B(15円)。


夕刻前にカオサンに帰ってきた。どうやらこのホテルは連泊するとベッドメイクはしないらしい。もっともそうでなくてもシーツはいつ取り替えるかわからない感じ。枕カバーはなく、普通の布枕。これはもちろん洗わず使い回しだろう。

カオサンの小店を見て回る。刺青(タトゥ)の店も少なくない。たいして巧い絵とは思えない。

予定ではミャンマーを訪れた後北部タイに行き、メコン川をスローボートで下ってラオスに入るつもりである。そのボートは狭く、25時間かかるという。カオサンの店でハンモックを見つけたので、その舟旅に備えて小さいのをひとつ買う。100B(300円)ごく粗末なものである。

修復用の瓦 周囲にはインチキなブランドを売っている店も多い。屋台のような店で売っていた短パンはナイキのマークが付いているが「NIKE AIR」と書いてある。

パンツのどこがエアーなのだ?かえっておもしろいから一枚買った。この偽ナイキはいまだに使っている。

夕食は中華。どうしてもエスニックな香料を口にする気になれない。結局最初の一食以外タイ料理を食べていない。

6時過ぎにチケットとビザを入手できた。出発は明朝10時である。パスポートを取り出してVISAで10,000B(3万円)キャッシングする。少し安心。ミャンマー/ラオスに備えて少しバーツで金を持つことにしたが、これが正解かどうかわからない。


夜が更けてホテルの一階で飲んでいたら日本人の女性ふたりに声をかけられた。声をかけてきたものの、きょとんとしている。どうやら旅先で会った誰かと間違えたらしい。みんな日に焼けて無精髭が伸びているから年格好が同じだと夜目には区別が付かない。

話をしてみると、インドからの帰りでこれから深夜便で日本へ帰るところだという。たぶんインドで会った誰かだと思ったのだろう。可愛い二人だったがインドへ行ったことがいかにも誇らしそうだった。カオサンにはこういう連中がごろごろしている。

どのホテルのバーの椅子も、通りに張り出している。ディスコの前には人だかりがしている。カオサンは夜更けまで騒がしい。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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