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サンダカン、といえば「八番娼館」である。なにか当時の痕跡は残っていないのだろうか。
ホテルのフロントに聞く。なんのヒントも得られない。どうもこの国は前ばかり見て昔のことを大事にしていないのではな
いか。しょうがないので、とりとめなく町を歩いてみることにする。
タクシーはTEKSIと表示され、食堂にはRESTORANと看板が出ている。微妙にスペルの違う外来語。日本英語も同じようなものか。我々は西欧文化をはんぱに消化したアジアの兄弟である。
レストランと表示のでている店はほとんどドアがなく並んでいる料理から選ぶ定食屋スタイルの店が多い。市場前あたりの店ではビー
ルさえ売っていない。夜更けまで男たちが甘いお茶を飲みながらしゃべっている。
サンダカンホテルの坂を下って西のほうに行くと、そこは中国色の濃い一帯だ。みな人前をはばからずビールを
飲んでいる。イスラム文化内の酒解放区だ。
スタイルは、屋台というよりオープンカフェなのだが、もちろんそんなおしゃれなもんじゃない。コンクリートの床/プラスチックの椅子/ビニール貼りのテーブルの3点セットでカー
ルスバーグを飲む。夕方から道路を占領して現地の人とビールを飲むのはなかなかオツなものだ。大瓶で8RM(285円)。つまみは平たいエビせんだ。
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