Tarakan
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バリクパパン空港「閉鎖」のアナウンスに、
驚くのは外国人旅行者だけ。

ホテルの周辺 翌日早朝。前の日に空港から乗ってきたタクシードライバーが、約束どおり朝ホテルまでやってきた。空港まで5000ルピア(71円)。

搭乗手続きで空港税6600ルピアを要求される。1万ルピアの紙幣を渡すとおつりが3000しか返ってこないので文句をいう。こういう細かいカスリは気持ちよいものではない。空港は観光客慣れしているのでよくこういう態度を取る。ほかのインドネシアはおっとりしたものなのだが。


飛行機はなかなか出ない。待っていると「バリクパパン空港はクローズドです。」というアナウンスが流れる。意外な単語に外国客は顔を見合わせる。クローズド?閉鎖?封鎖?なんだそれは。
「理由はなんだ」と聞いても係員は「ここではわからない」としか答えない。全然、情報公開がない。呆れたり驚いたりしているのは数少ない外国客だけで、地元では珍しいことではない様子だ。平気な顔をして長椅子に座ったり寝転んだりして淡々と時間をつぶしている。

朝6時半に空港に来たのに、暑くなるまでロビーで待たされる。



裏町の光景
ようやく搭乗の案内があった。10時頃だが、なんにもない空港に厭きてしまって、もう充分昼過ぎまで待ったような気分だ。飛行機は小型プロペラ機だが、左右2席づつ。さすがにこのあいだのセスナよりは大きい。左に座ってしまったので陽射しが入る。朝、南へ飛ぶ便なのである。


ラジカセを機内で鳴らす客がいてやたらうるさいが、誰もとめない。スチュワーデスもとめない。「公共の場所」についての感覚が違うのか。他の場所もそうだがインドネシア人というのは割合とうるさい音が好きなのだろうか。いや、なにを馬鹿なことを。では東京の騒音はどうなのだ。駅のアナウンス、パチンコ屋の店頭。日本も相当うるさいぞ。むしろホテルや飛行機の中は日本のなかでそこだけが静かな場所にすぎない。
日本の騒音は「西洋的空間」では遠慮して羽目をはずさないでいる。それに比べればこのインドネシア人のほうが西洋文化に対して堂々としていると言えるかもしれない。



ボルネオ島からスラウェシ島へスラウェシ島へ
などと考えるうちに我々の乗ったプロペラ機は田んぼのなかの空港に降りていく。バリクパパンだ。
この田んぼのなかのエアポートは案外に立派なものだったが、どうやら霧が発生しやすい空港らしい。あいかわらず客は怒りもせずじっと待っている。「閉鎖」の原因はこの空港の霧であった。

バリクパパンはトランジットだけなので空港から出ず、これでボルネオ島東海岸国境飛行も終了。スラウェシ島へと向かう。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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