Ujungpandang
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椅子屋の店先 ひとつの町に慣れるのには数日かかる。ようやくこの町がわかりかけてきたところだ。最初に行った公園がひとつのキーポイントである。それは大きなロータリーのようになっていて、この周囲は一方通行だ。その周辺は緑の多い高級な家並みで、近くにEXIM BANKがある。その先に戦士の門があり、右折するとBNIがある。

BNIを過ぎると商業地域に入る。ビリヤード場が多い。日本の町ならパチンコ屋のあるべきところに撞球屋がある感じだ。写真屋と美容院がやたらと多い。本屋は少ない。サングラスをかけていったせいか、皆あまり反応しない。外国人は眼でわかるのだろうか。

この通りに、VISAカードの使える旅行代理店があった。この町でクレジットカードの印をみたのは初めてである。


広い通りに出ると軍のトラックが警笛を鳴らして我が物顔で走りぬけて行った。裏通りに戻って食事する場所を探す。瓶を並べている店があったので飲み物かと思ったらベンジンだった。

適当に入った店で、チキンカレー/じゃがいものカレー炒め/コーヒーの昼食をとる。7,000rp(99円)。コーヒーは粉だらけで、しばらく置いて飲む。
ベンチに座っていたら男二人が仲良く手をつないで通り過ぎた。どう見てもホモだ。アジアでは同性愛者がわりあい堂々と歩いている気がする。


馬車が置いてある この町には中国人が少ない。若い女性にはヘジャーブ(被り物)も少ない。いくぶん貧しい姿だが、とくに服装の特徴はない。

穏やかな田舎町の、いま歩いているあたりは下町であろう。安ホテルがあったのでちょっと覗く。シングル一泊12,500rp(177円)。ただしファンしかない。トイレは部屋についていたが、例のツタンカーメンで、床にへばりついていた。

ここは外国客も多いらしく英語が通じる。ばあさんがいて、かたことの日本語さえ通じた。手ぶらに近い格好だったので「もちろんバックパックは持っているんだろう?」と聞かれた。ここを早く知っておけば、もう少し町の情報も手に入ったのだろう。最後の日になっていろいろ見つかる。


河口の風景 ホテルに帰り、外の椅子に座って、日の暮れるのを待つ。
コーランが聞こえ、猫が歩く。樹々の向こうで空が赤くなりはじめる。

ぼんやり、アジアだ。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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