YogYakarta
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ジョグ大生のイメルダと竹の小屋で食事。
鯰を食べながら、ヲサム君おおいにからかわれる。

ホテルに帰るクルマのなかで、ドンが女性たちに渡したメモの意味がわかった。ジョグ大生のイメルダと食事をしようというのである。

途中で彼女の家に一度寄ってみたが「She needs time to dress up」ということなので、後でまた、といったんホテルに帰る。

7時過ぎ、Phoenixホテルに来た車にはもう皆と一緒にイメルダも乗っていた。目的地は北に15キロほど行った淡水魚料理の店だ。走るにつれどんどん窓の外は暗くなる。ほとんど山の中のようなところに着いた。

「BORO ***」と書かれた看板がある。「Welcome to ***」だそうだ。
***のところは店名だったのだが、覚えられなかった。インドネシア語だったし。


店は竹で編まれた海の家のような造りである。池の上にはり巡らされた竹の回廊を渡って部屋へ行く。部屋もまた竹で編んであって、床の下は池だ。涼しいけれど、煙草の火でも簡単に燃え上がりそうな部屋である。

「虫かごみたいな部屋だな」

見慣れないメニューなので、イメルダがいちいち説明してくれる。キャットフィッシュ、ゴールドフィッシュ、ジャバビール、ジャバにらなどを頼んだところで、停電になった。暗い中に料理が運び込まれる。

「魚の姿を見たいなあ」

半分くらい食べたところで明るくなった。ゴールドフィッシュというから金魚かと思ったら案外うまい白身の魚だった。鰻の蒲焼きに似た大きな魚は美味かった。これがキャットフィッシュだろう。

イメルダと一緒に イメルダの結婚観などを聞いていると、ヲサム君は「もういいですよ」という顔をしている。

ヲサム君はナマズを食べるのは初めてだが、イメルダはほとんど毎日料理しているというので「じゃあ一緒になったら毎日食べられるね」とか、そういった種類の会話が中心になる。あんまりヲサム君ばかりモテるのでおじさんたちがいじわるしているといったところだ。

ヲサム君はおとなしく左手をテーブルの下にさげている。昨日イメルダの家で食事をごちそうになったとき、そう習ったらしい。イメルダのお父さんは電力会社の重役、ジョグジャカルタ大学生で、モデル。ライターもしている。才色兼備の女性である。

ヤシガニを知ってる?と質問したら、みんながあまり熱心なので驚いたのだろう、「なんでそんなことに興味があるの?」と不思議そうな返事だった。カタンカナリという名前まで知っているし、変な人たちだなあという顔をしている。

ジャワビールは赤くて温かい。「ビール草」みたいなのがあって、閉じ込めるとポンとはじけて泡が立つから「ビールという名があるのよ」とイメルダは説明した。


突然ヲサム君が吹き出したのでイメルダは「どうしたの?」という顔をする。

この説明は難しいだろう。ジャバにらの料理が出てきたときにダイトウさんが「ジャバにら炒め」と言ったのである。ヲサム君はうまく説明できなくて「日本語のジョーク。ごめんごめん」と謝っている。

ヲサム君がなにか食べにくそうなものに手を出すとイメルダはさりげなく手を貸す。インドネシアの女性の情愛といったものを感じる姿だった。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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