Zamboanga
次へ


アジアの肌の下、スペインの血が流れる。
ザンボアンガは美人の町。

パレードの娘たち 私が着いた日、ザンボアンガはお祭りだった。Liberty Dayとあるから独立記念日か。ここでは「自由」という言葉が新鮮な価値を残している。 町の中央にある公園に砲台が飾られ、女神像は自由を讃える。支配者と戦い血を流して自由を勝ち取った記憶を共有しているようだ。

パレードがやってくる。薄く化粧した少女たちが、くいっくいっと腰を振りながら歩いていく。
小学校1年か2年生くらいだが、その身のこなしはすでに色っぽい「ボニータ」そのもの。ラテンの娘だ。それに比べると同年の男の子たちはまだ子供である。ひょろひょろした手足で、ラッパを吹いたりしながら退屈そうに歩いている。 カーニバルの主役は女性たちだ。



海から5メートル。
潮風の吹き抜ける「フィリピン最高のバー」。


港から見える場所にホテルが見える。
この町いちばんのホテル、LANTAKA HOTELだ。客待ちのトライシクルが並ぶヤシの並木道を歩いて、港から2、3分の距離にある。一泊1,045ペソ(3340円)だという。
古いコナの木を使った廊下を通り部屋へ行く。格子戸の窓の外にテラスがあって、そのすぐ下は海だ。

「冷蔵庫がないね」「一晩50ペソで追加できます」
海風のBAR 部屋の下から海辺の道をプールのほうへ歩くと、バーがあった。
海岸から5メートル。カウンターの上を海風が吹き抜けていく。
バーテンの後ろから客の背中まで海が広がり、目を凝らすと薄くサンタクルズの島が見えアウトリガーが浮かんでいる。

「サンミゲルをくれ」「はい」「んーうまい。いくら?」「22ペソです」
これは安い。マニラのホテルでは110ペソ(350円)したビールが、ここでは70円である。蝶タイをしたバーテンのサーブで、海風のバーカウンターで、清潔なグラスで、よく冷えたビールが、である。

私は明日からこのホテルに移ることにした。


c 1998 Keiichiro Fujiura


表紙へ表紙へ
地図へマップへ
前へ前へ
次へ次へ