言わせてもらえば
民主主義の愚直さ。

銀河英雄伝説という人気SFがある。田中芳樹原作。アニメにもなったのでご存知の方も多いだろう。架空の史観のなかで、宇宙を舞台として帝政と共和制の戦争を描いたものだ。

これを読んでいると「民主主義はしょうがねえなあ」と思うことが多々ある。こと戦争に関して言えば、意思決定の遅さ曖昧さなど民主主義合議制の欠陥が露出する。

闘いの局面では皇帝がすぱっと決断したほうが有利なのであり、戦に勝つことがもたらす利益は大きいのでたとえ人権が制限されても多くの国民がこれを指示するわけだ。

民主主義を良しとしている人でもあまりに意思決定が遅いと「もっと効率的にやってくれ。どっちでもいいから早く決めてくれ」という衝動が湧いてくるだろう。

その衝動と戦ったのが、今回の米国大統領戦だと思う。

公衆の面前で、あくまでもオープンステージで、あくまでも正規の手続きにのっとって戦うその姿は、効率的なものでも潔いものでもなかったが、しかし民主主義のルールを遵守しようとするものだった。

民主主義とは究極では効率とは相容れないものなのだ。

「政治に空白は許されない」などといって密室で談合するような行為は、ルールを無視して効率実利を得る態度で、自由や民主という精神の対極にある。

民主主義を守るとはあえて愚直の道を選ぶことなのだなあと、世紀末の選挙を見ながら思った。



(2000年12月20日)





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