Baduy
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自然樹の橋は両岸に根を下ろす生きた橋。
気長で遠くを見る視線がこの植物橋を作った。

ロケバスはオフロード車である。舗装路から山道に入り、行けるところまで行ったらクルマを降りて靴の紐を締め直す。トトが用意してくれた登山靴はサイズがぴったりだ。


道はなかなか大変だ。
歩き始めるとすぐに険しい道になる。またも、というか昨日以上のアップダウンを経て、ようやく「生きている樹の橋」へ辿り着いた。

途中、道にはみ出した大木の根を乗り越えたり、滑る川岩をつたって渓流を渡ったり、汗だくである。


その「自然樹の橋」というのは不思議なものだった。崖の両側に立った二つの樹を少しづつ曲げて、川越しに枝と枝を結び、それを頼りに板を渡してあるのである。


板を結ぶ蔦もみな両側の岸から伸びている。この橋の材料は生きた植物なのである。



自然樹の橋
「どうやって作るの」とドンさんに聞く。
「川の両側に木を植えるのです。そして成長を待って少しづつ曲げていくのです。何十年もかかります。」

この橋もいつかは枯れるから、いまのうちに次の橋の樹を育てておくのだという。気の長い話、というよりも、ずいぶん計画的な話ではないか。


この日のお弁当は塩魚、鶏のふりかけ、白飯、それに「ドリアンういろう」。ドリアンの加工食品ははじめて食べたが、なるほど、なんとなくドリアンの匂いがする。

みんな疲れてなんとなく食欲不振。早朝鶏に起こされたせいかもしれない。ヲサム君は橋のそばの石を枕に昼寝している。




c 1998 Keiichiro Fujiura


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