Chiang Mai
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メイピンに虫がいた。対応が不誠実だったのでホテルを変わる。
移った先は、チェンマイ有数の高級ホテルだった。

深夜、2時頃虫に刺された。蚤(ノミ)のようだ。メイピンクラスでも虫がいるのか。 「自分が持ってきたのか?」と一瞬考えたが、ワンコムに連泊してその間虫はいなかっ たからこのホテルの虫らしい。まあロビーにバックパッカーの姿も多いからありえな いことではない。

騒ぎになると面倒だと思ったが一応フロントに「虫がいる」と連絡すると、答えは 「アーハー」。「遺憾である」とも「申し訳ない」とも「なにか対応しようか」とも 言わない。

窓が壊れていて雨水が入り荷物が濡れたときも「もう窓は直った」としか言わず、濡 れた荷物にはなんの言及もなかった。どうもなにかが欠落しているようだ。

それでホテルを変えることにした。急遽の予定変更である。にも関わらずチェックア ウトのときも何のコメントもない。


電話帳で調べて、10時にオーキッドホテルへ移動する。もう水掛けをしているやつ らがいる。「荷物がある」と示しているのにバケツの水をぶちまけられた。だんだん うんざりしてくる。

オーキッドホテルというのはチェンマイ有数の高級ホテルだった。体力気力が衰えて きたせいか、もう旅も終わりだと諦観したのか、なんでこんな高いホテルを選んだの か自分でもよく覚えていない。たぶん疲れていたのだろうし、メイピンの半端な高級 感が嘘っぽくなったのかもしれない。

ロビーに入ると日本の皇族が泊まったという写真が飾ってあった。新聞ラックには衛 星版の読売がぶらさがっている。よく吟味しないでホテルを選んだので「おやおや」 という感じだが、これはこれで悪くない。

料金は2120B(6360円)。NET+朝食付き。メイピンが1200B(3600円)だから「倍まではしないけど」 というところ。ゲストハウスから見れば「とんでもない」世界には違いない。

最初に通されたのはプールの見える眺めの良い部屋だったのだが、残念ながらプール のスピーカーがとんでもない大きな音でタイ歌謡を鳴らしているので「静かな部屋」 に替えてもらう。

結果は失敗だったようだ。窓の向こうは立体駐車場でしかも西陽。窓を開けてもなん のいいこともない。


この旅でも有数の高級ホテルなので中を散策する。アスレチックジムはまあまあだが、 マッサージは2時間600B(1800円)。ちょっとやってもらう気がしない。コンシェルジェに 近所の案内をしてもらうと「大学がある」という。またも水に濡れながらその「大学」 のほうに散歩に出かけた。

学校のあたりはさすがに閑静で、高級住宅地らしかった。近代的なビルの「マッサー ジセンター」があったので立ち寄る。1時間200B(600円)。山の手なので少しお高いとい う感じか。しかし貪欲にチップを欲しがることもなく医療機関で治療を受けるような 雰囲気だ。

東京でいえば青山学園周辺というところなんだろうか。ブティックや洋風の看板も多 い。「SIRIES」という店に入ってマカロニ&チキンを頼む。ビールと食事で100B(300円) だったが思いのほか旨かった。店の前に大きなバケツが置いてあって、ときどき思い 出したように水掛けをする。そこだけが「伝統保存」のようで興味深い。

帰り道は雨。もう濡れるのには慣れているのでそのまま歩く。

天からのソンクラーン。雨季が始まった。




c 1998 Keiichiro Fujiura


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