Chiang Mai
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高級ホテルには日本人の団体客。
水を浴びた様子など少しも感じられない。

ホテルの横はTOPSというショッピングセンター。ひさしぶりにマンゴー、パパイヤな どを買い込む。なかなか結構なワインコレクションがあって、サンテミリオン950B(2850円)。さすがにこの値段のものは美味い。

果実をつまみに部屋でワインを開けて水掛けの時間が過ぎるのを待つ。一日二日は楽 しいが四日はTOO MUCH(多すぎる)という感じ。日が暮れるのが惜しいように日没ま で熱心にやっている人もいるが「そんなに面白い?」と聞いてみたいような気がして くる。

このホテルは日本人利用が多いようで、それも団体客。クーラーの効いたバスであちこち連れ回されたらしい客が、夕刻になると戻ってくる。

わびしい日本食レストランでマンガを読んでいた連中とは対極の、裕福な観光客だが、 この人たちもガラス越しに水掛けを見ただけなのではないかな。服が濡れた様子は少しも感じられない。


ところでどうもタイの音楽が好きになれない。

女は頭のてっぺんから出すような声、 日本で言えば民謡声だ。男はオヤジ声。リズムはたぶん西洋音楽の影響なんだろうが 「ドン・ド・ドン・休」という初期ロックでよく使われたパターンが多い。(「Be My Baby」や「芽生え」のイントロといえばわかる人もいるだろうか。一時はリバプー ルリズムといっていたアレである)。

ただしその上に乗っているリズムは8ビートで はなくて2ビートだ。きわめて「音頭」に近い。疳高く喧しい謡声が終日鳴り響いて いるが、これはソンクラーンの期間だけの郷土回帰なのかもしれない。

ホテルの中の音はさすがに違うことを狙っているらしく、オーキッドホテルのロビー では男がピアノを弾いていた。一応ジャズなのだがリズムがない。ワンコムにも似た ようなのがあったが、タイ人ミュージシャンはこの手のノリをまだ把握していないよ うだ。

アジアではフィリピン人がピカイチにリズムがいいのだけれど、多くの国では 彼らの入国を好まない。地元の仕事が奪われるということもあるだろうし、麻薬や暴 力が付きまとうのを嫌っているかもしれない。

オーキッドの立地はさきほど書いたように、隣にショッピングビルがあってそこでは シンハが26B50(79.5円)で買えたりしてなかなか使えるのだが、あとはどこへ行くにも遠 い。クルマがないと動きが取れないホテルのようだ。


付け加えると、チェンマイの「町のサイズ」がどうもまだつかめていない。二度も訪れればいつもならもう少しイメージできてもいいはずだが、ソンクラーンのせいで歩き回りが足りないのか。この前自転車で走ったときは「わかった」気がしたのだが、それも結局は「ホンの一部を撫でただけ」だったんだろう。

このホテル周辺での生ビールは99B(297円)。実にこれはパッポンより高い。ボられている感じ がして不愉快だ。このホテルではそれなりの体験もできたから、一泊だけで明日はまた替わ ることにしよう。

夕食は大学の近くのファストフードで、スパゲティ、ローストチキン、アイスコーヒー (酒はなかった)で112B(336円)。手持ちのバーツはあと550B(1650円)くらい。タイを発つとき の空港税に200B(600円)、軽食に30B(90円)くらい要る。明日のホテルはクレジットカードで払 うとして、両替なしでしのげるかなあ。

ソンクラーンの終わりの日。休みの店も多く、町は暗い。ホテルに帰り、昼間買った ワインの残りを飲んでぬるっと酔う。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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