Kyaikhtiyo
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山上にホテルがあり、自動車道路を作る計画もあるが
一方、古代の参道を歩く信者もいる。


驚いたことに、この山の上にホテルがあった。


夕暮れの黄金岩仏塔
しかも西洋式のホテルである。名をGOLDEN ROCK HOTELという。こんなものがあるとは思わなかった。ここに泊まれば朝に夕にあの黄金の岩を眺められる。

宿泊費は15ドル。もしも次に来ることがあったら、このホテルに泊まろう。

トイレを借りたらちゃんと水洗だった。この山上にどこから水を持ってきたのだ。クルマは来られないから人が運んだのに違いない。かえってバチ当たりのような気がするのは、黄金の岩を拝んだ直後だからだろうか。

ホテルの売店にリポビタンDがあった。180K(72円)。

もう夕陽になってきたので山を降りることにする。下りは楽で、登る人たちがどれほどきつそうな顔をしているかがわかる。登るときには足元ばかりを見ているので、降りる人たちの顔など見るまもなかった。

キンは満足そうな顔をしている。官費で観光旅行に来ちまったぜ、という感じだ。この男は愚痴も多いし、どこか小ズルいところがあって好感が持てない。

黄砂の登山道 なんでもこの黄金の岩の山頂まで自動車道路を作ろうという計画があるらしい。 「そうすればこんなきつい山登りもしなくてすむし、もっと人も来る」

そうかもしれない。しかし、浅墓な思慮のようにも思う。あの岩上のパゴダを作った労苦に応えるのにこの程度の山登りを厭ってよいものだろうか。

山道の途中で、思いがけないところから人が降りてきた。崖に切った足場を伝って数人の家族が現われたのである。なんでも泊りの村から乗合トラックを使わずに山上まで登る古来のルートがあるらしい。

その山越えの様子はまさに、西遊記の難旅であった。

便利な道もあるのだから、彼らはあえて昔ながらの参道を行くのだろう。こういう人々もいれば自動車道路を作ろうという人もいる。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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