Kyaikhtiyo
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ゲストハウスの相客はシビアな旅人たち。
間違えて教えた熊の金玉話に大笑い。

ゲストハウスに帰ったら、他にも客がいた。ドイツ人の二人連れ、日本人の若い夫婦。みな鉄道やバスでここまで来たらしい。たいしたものだ。自分は貧乏旅行者としてはまったく素人だなと思う。

「飯でも行きませんか?」という誘いに、日本人夫婦と一緒に表の「シーサー食堂」に行く。二人は商店を開業していて「旅の間、店を閉めているから収入がない」という。つくづくサラリーマンとは不思議なものである。

一緒に食事していても彼らは金にシビアで、なにを頼むときも「それはいくら?」と聞き、勘定を払うときは間違いがないかどうか計算している。中国ビール200K(80円)、フライドライス150K(60円)。

なぜか通りに豚がいた 「これまでにどこに行った?」という質問にバドゥイの話をしたら非常に興味を持って「どうやったら行けるのか?」と聞く。うーん、どうなんだろう。今回は特別だったからで普通の人は行けないんじゃないかなと答えたら不満そうだ。


ミャンマーのパスポートがもうすぐ切れるので帰国するという。
「今日は?」
「黄金の岩まで登った」
「ゲテモノの店があったでしょう」
「あーあったあった」
「熊胆(くまのい)を売ってたよね」
「えー、あれ 胃だったの!?」

間違えて「キンタマ」と教えた話をしたら大受け。そのうち地球の歩き方に「ミャンマーの聖地では熊の金玉を売っている」という記事が出るよきっと、と大笑いされた。だってほんとにそう思ったんだけどなー。

ゲストハウスに帰る。ドライバーのキンは「明日の朝、みんな夜明けに登る」ようなことを言って、ろくに打ち合わせもせずにいなくなる。

家に大きな変圧器がある。高圧で送られてきたものをここで家庭用に変換しているのだろう。しかし、すぐ停電する。停電するとシャワーも止るので、裏の水瓶で行水する。

水瓶といってもコンクリートで作った四角いものだ。裸の上にロンジーを着て、そのまま柄杓で水を浴びる。股間が痒いのだが、これだとうまく洗えない。月明かりの中での水浴。なかなか良い気分ではある。


ピンクの蚊帳の寝床
明日は早いので11時頃には眠ろうとする。

壁の薄い一人部屋。ベッドの上にピンクの蚊帳が吊ってある。窓がひとつあって、ガラスはない。木で編んだ覆いがついている。蚊帳を下ろすと暑い。扇風機がひとつあるが風の調整は難しい。それでも、このあたりではずいぶんよいほうの宿舎と想像できる。

広場のあたりで一晩中でかい音でラジオを鳴らしている。騒音に関する感覚は文化によってまるで違う。なんとか1時から5時半頃まで眠る。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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